計画的に事業承継した米農家プロ・竹本彰吾さんに尋ねた!「米の農業ってどんな仕事?」/たけもと農場

青い服を着た人が笑っている

土づくりをベースに
人と地域をつくる
たけもと農場

青い服を着た竹本さんの写真
有限会社たけもと農場
代表取締役社長
竹本 彰吾(Takemoto Syogo)

藩政時代からこの地で米づくりを継いできた『たけもと農場』。1966年に天皇杯受賞、1993年に個人事業から法人化へ。現代表の竹本彰吾さんは計画的な事業承継を実施し、32歳で代表になりました。その一方で『アグリファンド石川』の会長を務めるなど、石川県の農業界を引っ張る存在です。

本インタビューでは、農業の担い手誘致への考え方、事業承継するまでのストーリー、また米づくりと人財への想いについてお伺いしました。おいしい米づくり追求したい方、将来農業を仕事にしたい方はぜひご覧ください。
(2023年3月インタビュー)

なりたい職業NO.1「農業」の真意は?

竹本社長:なりたい職業NO.1”農業”。これは4Hクラブ(全国農業青年クラブ)の会長だった際に掲げたスローガンでした。当初は農業希望者に向けたメッセージでしたが、農業従事者にとっても良いメッセージだと思います。農業界全体の地位向上、そして価値の再確認をして「農業っていいなぁ!」と、次世代に思ってもらいたい。

仕事上もちろんお金の話も重要。その一方で”農業という仕事”を伝えることも大切です。それぞれの地域が持つ地域性を守っている、人々に食を届けている、そしてそのような役割を地域から期待されている職業なんです。つまり、農業を通じて地域を持続させていく「地域の担い手」としての価値があります。

農業の仕事について語る、竹本社長


その価値を伝えるために、農業従事者以外の方にもっともっと農業に触れてもらいたい。そのために最近始めたのが『おてつたび』です。米収穫のお手伝いを募集し、実際に県外から農業体験者を受け入れました。これまで石川県能美市を知らなかった方が、米の農業の手伝いをきっかけに、地域に訪れる点がいいなと思います。

今後、興味を持ってくれた方を就農に結びつけるためには、多様な担い手のモデルが必要です。専業農家にこだわらず、兼業農家、農業法人への就職、またワークシェアリングや農福連携など、農業に関わる方法はいくつもあります。そのひとつとして、僕みたいに親元就農する方は、計画的な事業承継をオススメしています。

コラム:親元就農について

竹本彰吾さんの親元就農(両親等から将来引き続ぐことを目的に、親元に就農すること)、そして事業承継については、自身も共著者である書籍『今日からはじめる農家の事業承継』で詳しく紹介されています。

米作りのプロ家系の
計画的な事業承継

代々続くたけもと農場は、土づくりに特徴があります。僕たちは土づくりを重要視しており、半分以上は土づくりがお米作りを決めるといっても過言ではありません。通常、効率性を求めてくるとだんだん土を耕すのが浅くなりますが、僕たちはあえて効率性を犠牲にして、深く耕すんです。その点をしっかり受け継いできました。

田んぼと青空
手取川扇状地に広がる牛島町、社屋前の「田園風景」
石碑


僕自身は高校3年の頃、いきなり就農せず、経営を学ぶために大学へ進学。在学中に事業承継について考えるきっかけがあり、第三者に入ってもらいながら事業承継の計画を作りました。大学卒業後に親元に就農しましたが、10年後には事業承継する前提でした。やはり将来引継ぐことが明確だと、今何をすべきなのかが明らかになり、意欲高く学ぶことができました。

たけもと農場DNA
人と地域を耕し、育てる

実体験もふまえて、農業はすぐに身につくものではありません。だからこそ人を育てる視点を持っています。例えば、当社は7人で約50ヘクタールの田んぼをやっていますが、通常この規模なら4人くらいです。そこをあえて人を厚めに確保しています。

ここ数年で農業をやめる方から農地を預かることが増えているため、いきなり何十ヘクタールの農地で米づくりする必要性がでてきます。その時になって人が足りないといっても、そう簡単には雇えませんし、育てることもできません。先に人財を確保し、その分は付加価値を高めてカバーするのが当社の戦略です。

そのため新規事業をつくったり、新規開拓をしたりと、常にアンテナを張っています。たとえば当社の看板商品の1つであるイタリア米は、金沢のイタリアンレストラン『アルベロ』のシェフとの交流から生まれた商品でした。実際に作ってみると鮮度が高く、顔が見える商品としてご好評いただき、いまでは全国数百のレストラン等に使用されています。

国産カルナローリ
国産イタリア米『カルナローリ』


そこから派生して、イタリア料理に使用する豆類の栽培や、パエリア用のスペイン米の栽培を検討しています。これからは野菜類も可能性としては考えていきたいと思っています。

先代も地域の子ども向けに農業体験や社会見学の受入をしたりと、人づくり・地域づくりに貢献してきました。僕自身も農業を通じて社会に価値提供し、そして人づくりに貢献していきたいと思います。

米の農業に触れ、仕事内容を知ろう!

農業に興味ある移住希望者の方は、まずは見学・農業体験をしてみませんか。ただしタイミングがありますので、事前にご相談ください。またなんとなく農業に携わってみたい方は、先ほども紹介した『おてつたび』にご参加ください。こちらはハードル低く農業を知るにはピッタリです。

近年は母校である鳥取大学と共同研究を実施する機会があり、大学生に関わる機会が増えました。大学生と話していて、面白い現象に気づきました。農業には興味がある学生さんでも、いざ就職活動をするときには、「農業」が頭から消えて無くなるようです。まずはこの状況を変え、なりたい職業No.1を目指していきたいもんです。

事業所有限会社たけもと農場
所在地石川県能美市牛島町ロ175番地(たけもと農場
募集求人見学・体験希望者はお問い合わせください
備考おてつたびは常時募集していません。募集状況はご自身でお確かめ下さい。

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