空き家を待ち望む人がいる、ユニークな山間集落に移住。 事業創出・移住支援を志す、先輩移住者とは。【石川県能美市・Iターン移住】

青と白の家

人が人をよぶ集落へ
人財育成とコミュニティ維持の

循環づくりをめざす

男性が笑っている
Iターン移住者
巽 龍雄(Tatsumi Tatsuo)
米国で約25年過ごし、帰国後は研究者・事業者として有機栽培に携わってきた巽さん。2020年3月にバイオミメシス株式会社を起業、同年9月に石川県能美市・坪野町にIターン移住。アーバンファーミングの実現を目指し、マイクログリーンの普及に努めています。

本インタビューでは、巽さんが石川県能美市で実現したいこと、余所者の関心を集める山間集落・坪野町の魅力、また同町でシェアハウス・オフィス事業を展開する理由をインタビューしました。(2022年12月インタビュー)
木と家がある集落
国造地区、山間部に位置する坪野町

米国暮らしから一転
石川県能美市で新たな挑戦

2020年9月に、石川県能美市にIターン移住しました。アーバンファーミングによる地域づくりを目指し、生まれ故郷の石川県内をあちこち探した結果、石川県能美市・坪野町の物件に出会いました。

実は、能美市には昔からご縁があったんです。生まれは隣の小松市でしたが、能美市内の高校に進学しました。卒業後1年半ほど武道修行に励む中で、後の人生を考えて英語を学ぶことを決意し、アメリカに留学。行き当たりばったりですが、アメリカには約25年間暮らしていました。

アメリカではタイ国総領事館に籍を置きながら、不動産関連の仕事をしていましたが、予期せぬことから日本に帰国。帰国後の進路を考えていた最中、再び能美市とご縁いただき、北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)の知識科学研究科(博士課程)に籍を置くことになったんです。

コラム:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)とは?
先端科学技術分野における国際的水準の研究を行い、それを背景として、大学院教育を実施するため、学部を置くことなく、独自のキャンパスと教育研究組織を持つ、我が国で最初の国立大学院大学として平成2年10月に創設され、平成16年4月から国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学に移行しました。
参考)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学HP
https://www.jaist.ac.jp/about/mission/

JAISTでは有機栽培等の研究だけに留まらず、生産物を販売するビジネスモデル開発をするために起業。その後は愛媛大学の農学部客員教授兼アカデミックアドバイザーも務めました。

今後はこれまで培った知識・経験を活かし、アーバンファーミングを展開していきます。石川県能美市からアーバンファーミングのモデルづくり、そして拠点を構える坪野町の担い手づくりに貢献していきたいです。

男性がお話をしている
坪野町の担い手誘致をしたいと語る

苦労した移住先さがし
決め手は物件と人

移住先探しはスムーズにいかず、とくに物件探しは大変でしたね。その理由として、1つは私が余所者のため信用がないこと、もう1つは条件が合う物件とマッチングできなかったこと。自治体が運営する『空き家バンク』で物件を探しましたが、なかなかうまくいかなかったんですよ。

当初は石川県全域、能登地域から加賀地域まで幅広く検討するために、各自治体の空き家バンクで物件を探しました。実感したのは、自治体によって熱量が異なること。

なかでも、当時の能美市の担当者は熱心にお手伝いしてくれたのですが、次のステップの交渉・契約でも一苦労でした。条件面の話が個人間ではなかなかまとまらず、個人間売買のハードルが高いのを痛感しました。 幸運にも坪野町の空き家に出会い、無事に移住先を決めることができました。リノベーションをして、事務所・作業所として整備しました。

青と白の家
巽さんの拠点、DIYで改装も

物件にも恵まれましたが、それ以外にも坪野町の人の存在に恵まれたと思っています。集落に住む方々は良い人が多いことに加えて、余所者が賃貸で住んでいたり、古民家を購入してお店をしている人がいたりと、すでに余所者が根付いて活動している町でした。とりわけ『茶藝館 茶楽』さんの存在は大きく、私自身移住の決め手となる要因になりました。

古民家
『茶藝館 茶楽』、店主もIターン移住者

空き家を待ち望む?
移住者が惹かれる集落

坪野町は人口が少ない集落ですが、ご関心を寄せる移住希望者はおりまして、実際に空き家を待ち望む方がいます。町全体として、余所者に対してオープンさを感じるのが特徴です。

神社
坪野八幡神社・社叢、小さな祠には「水の神さま」がいると伝えられる


自然資源が豊かで、とくに水が良いんですよ。ここでは山の水(山から染み出た水を貯蔵し、引いている水)が使えます。もちろん市の上水道も通っていますが、住人は日常的に山の水を使用できます。水に関心が高い方にはぴったりなところですね。

おもしろいことに20軒ほどしかない坪野町に、わたしも含めて現在5人の防災士がいます。またつい最近、町内にAEDを設置できました。山間部では災害時に孤立する可能性があるため、自分達で生き抜く力が重要です。自治意識が高い町だと自負しています。

そんな坪野町に関心寄せてくれる方がいるのに、現在は紹介できる空き家がありません。私自身も余所者ではありますが、この町の担い手となるような人財誘致をしたいと思っています。だからこそ自宅を開放し、移住希望者・企業希望者向けのインキュベーション施設『Tokiwa Villa』を整備することにしたんです。

創発と挑戦の拠点
賃貸で始める田舎暮らし

『Tokiwa Villa』とは、廉価でシェアルーム・シェアオフィス利用できる施設です。起業したい方、坪野町に住んでみたい方に向けた移住・定住支援が目的。たとえば農業をやりたい、古民家で暮らしたい、とりあえず移住したい、そんなニーズがあるかと思います。


信用がない状態で移住先や物件を探すことは私自身も苦労しました。だからこそ何かしら支援をしたい。まずは『Tokiwa Villa』を拠点として活動いただき、地域での信用をつくりましょう。賃貸で地域に暮らしながら、空き家を探すようなアプローチもありです。

和室に長テーブル

さらにシェアルーム・シェアオフィスでは、同じような志を持つ仲間と出会い、そして切磋琢磨することで新たな知識・イノベーションの創発も期待できます。私自身も新規事業の研究や、起業を経験しているため、何かしらお役に立てることがあると思います。

最終的には『Tokiwa Villa』で居住・活動した方が、坪野町の担い手となってほしいです。そして人財育成とコミュニティ維持の循環が生まれることを期待しています。新規事業創出の拠点としても利活用できるように、事務所として登記も可能です。もちろん内覧希望もお待ちしております。

建物の前に立つ男性
施設名Tokiwa Villa(ときわ荘)
住所石川県能美市坪野町
物件タイプ木造戸建シェアハウス・オフィス
※個別に3部屋分占有スペースあり
家賃10,000~26,500円(部屋によって変動)
※共益費別途あり
備考・Wi-fi・家具つき
・契約期間は1年間~
『Tokiwa Villa』の詳細

『Tokiwa Villa』に内覧・見学にお越しになりませんか?地域に詳しい移住コーディネーターが坪野町をご案内します。滞在は1週間まで無料の『能美暮らしの家』をご活用ください。